罪
肩から血が吹き出した。痛いというよりもとにかく熱く、そして体中すべての血液が頭に集結しているそんな気になった。
不思議と音は覚えていない。うるさかった気もするし、水の中のように恐ろしく、且つ落ち着く音が鳴っていた気もする。それとも完全な無音だっただろうか。
覚えていないが、俺が見た光景は今でもはっきり思い出せる。忘れたい弱い俺は、その光景が目に浮かぶたびに思考を止めて固く目を閉じるが、成功したことはない。
俺を守るために出てきた見知った背中と、それが崩れ落ちる様、銀色の髪をした大きいけれど愛嬌がある人の獣じみた恐ろしい姿。クチナワの泣きそうに歪む悲痛な顔……。そのどれもが鮮やかな色彩を持って俺の記憶に居着き、苦しめてくる。
しかし、俺は自分が許されない存在だとわかっている。軽率な行動で灯を殺し、稲様を殺し、クチナワを独りにした。
恨まれて、憎まれて当然なのだ。寧ろ、あいつが俺を憎み苦しめることで俺は救われている。
捕まったら逃げて、また捕まって。その繰り返しで俺もクチナワもなんとか自分を見失わずに生きて行けている。そう思うのは俺の都合の良い妄想だろうか。
誰もいなくなった。
灯もいない。稲様は心がどこかに行ってしまった。
クチナワが唯一愛していた白蛇様は、人の形さえ取れずに狂ってしまった。
そのすべての引き金を引いたのはだれでもない俺だ。
もし優しい言葉を掛けられて許されたら、俺は――