思考放棄
能登はなおも俺の上にまたがり続けている。どこかに時計があるのか、こちこちと針が動く音が聞こえていた。
能登の手が服の上から俺の脇腹を擦る。少しくすぐったくて身を捩った。
「能登君」
「んー? ……なあ、福井君さあ、俺がこのままサカリ出してもおとなしく寝てんの?」
「え? あ、うん。どうだろう……」
「は、なにそれ。嫌とかそういうの思わねえの?」
「俺、おかしいから」
「本当におかしいよ、それ」
「ん……」
能登の指が服の中に入り込み胸を引っかかれる。爪で軽く転がされれば、その刺激が下半身に移動する。多分インランなのだ。体は。
「あ……でも、能登君寝るんじゃなかったっけ」
「覚めた」
「あ、そう」
「……ベッド行く?」
「え? いや……。どっちでも、いい、けど」
能登は俺の首筋に顔を埋め熱心に愛撫してくる。手は明確な目的を持って俺の下半身を擦る。熱い舌を耳の中に入れられ腰を浮かした。
「耳、弱いの?」
「し、しらないっ……」
「じゃあ、次から人に聞かれたら弱いって答えなよ」
耳元でくすりと笑われ、自分でもあそこが反応してしまったのがわかった。形をなぞるようにして能登の右手が動き、段々と息が荒くなっていく。声は出さないが激しく上下する胸が能登に俺の興奮を知らせてしまう。
能登の手が下着の中に進入する。さきっぽをしつこく攻められ、先走りが溢れた。
抵抗は面倒臭い。でも、なすがままだと恥ずかしい。さっきまでの俺はこれほど恥ずかしい思いをするなんてわかっていなかった。
能登の手が俺の出したもので濡れている。恥ずかしい。
「ふ、は……の、のと……」
「気持ちいい? なんか息上がってるけど」
耳に舌を差し込まれ、ちんこを扱かれ、俺は喘ぐ。俺ばかりが高まってすごく恥ずかしい。せめて能登も俺と同じ状態になればこの恥ずかしさも少しは和らぐんじゃないかと思い能登の前に手を伸ばし驚いた。
「つーか急にさわんなよー」
「勃ってる……」
「そうだね。なあ、挿れてもいい?」
先走りを手のひらで尻になすりつけられる。彼は手を休めずくるくると円を描くように尻の入り口をなでた後窄まりに指を埋めた。
「あっ」
「んー……」
「いっ」
能登がぐいと指を進めた瞬間ケツ全体に痛みが走る。能登が指を抜く。
「あれ? もしかして福井くんあんまり襲われてない? 抵抗しないっつってたからインランかなって思ったんだけど」
「おそ、襲われてねーよ。いてーよ……」
「ふーん。でも、挿れてえなあ」
能登が尻の入り口……いや、出口をカリカリと弱い力でひっかく。たまに中に入ることがあり、段々とおかしな気分になってくる。目を閉じて刺激を追っていると、突然能登がぴたりと動きを止めた。不思議に思い目を開けて能登を見上げる。能登は俺にまたがりながらきょろきょろと部屋を見回していた。
「……能登君?」
「あ」
「どうしたの?」
「そうだ」
能登が俺の上からどき、キッチンの方へと歩いて行く。どうしたのかと肘をソファについて起き上がる。
「福井くんはそのままでいて。つーか寝てて!」
「うん」
能登の勢いに押されソファに頭を付ける。白い天井を眺めながら能登の足音と時計の針が動く音を聞く。ほどなくして戻ってきたのとの手にはサラダ油が握られていた。
「これさ、潤滑油代わりになるんだろ。福井くん、試したことある?」
「……ない」
「べたつくかもしれないけど、我慢しろよ」
能登はそう言うと床にサラダオイルを置き、俺のパンツを掴み、下着ごと引きずり下ろした。若干萎え始めていた俺の息子がいきなりのことにさらに縮み上がる。
「何びっくりしてんの。脱がなきゃヤれねーじゃん」
床においたサラダオイルを再び持って、能登がソファに乗り上げる。
「足開いて」
「……は、恥ずかしんだけど」
「恥ずかしがるから恥ずかしいんだよ。恥を捨てたら恥ずかしくなくなる」
「そ、その理論はおかしい」
恥ずかしさはこみ上げてくるもので、そうなりたくてなるものじゃない。
「マインドコントロールできるようになれば、会長も楽にできるようになるんじゃねーの」
「マインドコントロール?」
能登が片手で俺の足を割り開き、その中に入り込んできた。俺は下もつけていないし、能登に男の大事な部分を尻の穴ごと大公開している状態だ。それなのに能登は口元に笑みを湛えながらも真面目な調子で続けた。
「不自然だよ、福井君。俺がちょっとつついたくらいですぐ本性出しちゃったじゃん」
「え、あ……」
「それとも、それも演技?」
「え?」
能登がボトルの蓋を回し開け、たくし上げられて顕になったままの俺の腹につうと垂らした。粘性の液体はゆっくりと下に降りて行き、起ちあがったものを通過しついに下の入口へと到達する。
「高等部の生徒会は中学とは違うから、他の委員会との連携とか喋る機会もたくさんあるよ。そうなったら、みんなアレ? って思うよ。福井くんってもしかして可愛いんじゃねーの? って」
「え? あっ」
サラダオイルを指にからみつけ能登が中へと入ってくる。じわりじわりと時間をかけて俺の中に指を埋める。かつて人のものを出し入れされたそこはサラダオイルの力も借り、なんなく能登の長い指を受け入れる。そういえば昔もそれほど苦労せず男のものを受け入れた。もし痛くてどうしようもなかったらめんどうくさがりの俺は一度で行為をやめていただろう。
「あっ……んっ、のとっ」
「あんまり、知られたくねえなあ」
なんだか早くも気持ちよくなって来た俺が能登の呟きを意識できるはずもなく、正常な思考を取り戻す努力すらせずに俺は能登に身を任せた。